上智大学SFDP推進室およびSophiaGEDは、上智大学と全国カトリック高校との高大接続教育プログラムとして、高校生タイスタディーツアーを実施しました。
2023年度春季の初回に続き、2期目となる2024年度夏季は、2024年7月22日〜27日(Aグループ)、7月30日〜8月4日(Bグループ)の2ツアーを開催。全国32校からグループごと各校1-2名、Aグループに29名、Bグループに31名が参加し、多様な訪問や体験、自律的なフィールドワーク、経験の言語化や構造化を通じた学習等に主体的に取り組みました。
「新しい環境・機会を自分に取り入れ、学びや力に変える」
全国各地から初対面の高校生メンバーが集まり、大学教員や大学生スタッフと一緒に海外のフィールドで多様な経験をし、各自の学びを追究しながら、互いに学び合える新しく充実の学びの場となりました。
タイをフィールドとした新しいコミュニティ・環境での大学ベースの学習体験が、高校生の未来へつながる力となるよう、特に、目的意識や自律性がより重要となる大学での学びへの接続を意識して、「自分たちで自分の学びを創る意識や、新しい環境での経験を自分の学びとして取り入れる力を伸ばすこと」を目標に置きました。
本プログラムの特色として、多様な経験・体験、自律的な活動実践、経験の言語化・構造化を通じた学びを軸の要素としています。加えて、全国各地の異なる学校の生徒同士の出会いやその間での学び合いも参加者にとっての一つの大きな要素となっていました。
❶ 多様な経験・体験 – 自らの経験をもって実践的・多角的に考える
渡航プログラムとして、自らの経験を持って考え学ぶことを重視。寺院・地域コミュニティ・大学・日系企業/団体・商業地・スラム地域支援団体など多様な層にわたる訪問先を取り入れ、現地の方々やタイで活動する日本の方々との対話や交流・現地活動など、能動的に取り組む活動や体験ベースで学べる機会を持ちました。
タイのトップ大学マヒドン大学訪問では、タイの大学生と英語での対話を試み、伝わる・分かる嬉しさに加えて、うまく伝えられない・理解しきれない「悔しさ」も重要な学びに。企業/団体訪問では、Asian Identity Co., Ltd.の中村勝裕様(Aグループ)、国際交流基金の髙島幸浩様(Bグループ)と、上智大卒業生でタイでグローバルに活躍する方々を訪ね、キャリア形成や異文化での生活・仕事等についてお話を伺い、将来への刺激を受けました。
コミュニティーの訪問では、地域の方々に教わりながらタイの伝統菓子作りや工作を体験。文化体験に加え、住⺠の方が暮らすエリアの環境や雰囲気を観察・感じ取りました。スラム地域の支援団体シーカーアジア財団様の訪問では、レクチャーに加え、地域を実際に歩き、人々の暮らしを体感しつつ、あたたかい住⺠の方々と挨拶を交わしたり子どもたちと交流。直接の関わりで認識を新たにしつつ、社会課題を考える機会となりました。
自らの経験を持って多角的にタイを捉えたり、多様な経験から 個人に応じて学ぶポイントを見出したりできるよう、思考の材料となる多くの経験・実体験を重ねました。
❷ 自律的な活動実践 – 自分の意志で学びや活動を創る力をつける
大学や将来に向け、自ら考えて動く力、自由度を活かして学ぶ力を意識。大学や団体訪問など比較的内容まで設定されたプログラムに始まり、徐々に自分達で目的や手段を決めて現地に飛び込んでのフィールドワークなど自律的な活動へ移行。参加者みんなでルールを決めての自由行動時間も設定しました。
責任や難しさ、時には小さな失敗から学ぶことも含めて自分で判断することの面白さや意義を体感し、できることが増える自信もつけながら、先への姿勢に繋げていました。
❷経験の言語化・構造化 – 自分の経験や思考を整理・認識して学びに変える
経験や思考を言語化・記録、構造化し、自分の学びを意識的に捉える学習活動を、全体を通した軸としました。プログラム用に作成したワークブックを用い、自分のミッションを言語化してから開始したり、貴重な経験や思考は日々の活動記録として毎晩ホテルで各自しっかり記録。最終日のまとめセッションでは書き溜めた記録を付箋に書き出して俯瞰し、全体の学びを可視化・構造化することで、自分にとっての学びや成⻑をとらえることを試みました。
「毎日メモとしてその時々の自分の感情を残しておくことで、得られるものは格段に増える」「このツアーを通して、自分がたくさん『考える』ことができたのが見えて嬉しかった」と実感もあったようです。
❹ 参加者同士の交流と学び合い
全国各地から集まった異なる学校のメンバーが、渡航前からのLINEグループやガイダンスでの交流、協働的な現地活動を通じてどんどん関係を深めていきました。
新しい人間関係を築きながら経験を共にする機会が、高校生にとって普段と異なる刺激や世界の広がりとなっていました。
高校生のみなさんは、現地でのさまざまな体験を、タイや異文化への理解や新しい物事へ向き合う姿勢、参加者間での新たな人間関係の構築や学び合い、自分の興味関心に基づく各々の発見や今後の目標設定などへ繋げていました。
- 沢山のタイの文化や社会状況を自分の目で見て知れた。細かいところにも目を向けて「なぜ?」と思ったことを自分なりに「わかる」ようにできたと思う。日本にとどまるだけではなく、現地に訪れて学ぶ楽しさに気づけた。
- 色々な人の話を聞いたり実際に街を見たりすることで、タイの文化について深く知ることができた。スラムに住む人々など自分が今まで知らなかった人たちの生き方や、仏教とタイの人々の考え方との関係についても触れることができた。
- 自分の内向的な性格が様々な人と関わることによって少し外交的になり、色々な人と交わり、人間関係を築くことによって沢山のことを学ぶ楽しさを知った。
- スポーツを通じて、世界中を笑いのたえない世界にしたいと考えています。このスタディーツアーで培った知識や考えはスポーツの事業やイベント、企画に応用できると思います。
- タイ文化を知るには、まだまだだと思います。きっともっと長く滞在しないと見えてこない面もたくさんあると思います。なので、絶対にまた戻ってきたいです!
また、プログラム参加全体を通じて、学ぶことへ対する意識や、自分を取り巻く世界への感覚、人生観についても気づきや広がりがあったことが窺えました。
- 机に向かう勉強では、こんなに考える・思索することはなかったと思います。自分の体験や知識を合わせてフル活用して「考える」ことこそが、「本当の意味での勉強」なんだと思いました。初めて「学ぶって楽しい!」と心の底から思いました!
- 「言語化して、自分と向き合う」ということの大切さに気づくことができた。これをすることで経験が成長につながると思うし、さらに次の機会にもより良い深い学びへと進歩していくのだと思う。このプロセスを大切に、より深い学びを得ていきたいと思う。
- 参加して感じたことは「世界は広い」。プログラムで色んな人、知らなかったもの・ことに出会って、今の自分がいる環境が人生の全てではないと気づいた。将来について考えると不安はまだあるけどすごくワクワクしている。一緒にいて楽しい友達に出会えたし、沢山笑った。少し自分のことを好きになれた。自分で勝手に限界を決めないで挑戦し続けようと思った。
- 人生なんてきっかけ1つで変わるんだと実感。その時にワクワクする道を全力でやりたい。必ずどこかでつながると信じる。
高校生のみなさんの、これからの学びや自分の世界を広げていく力に繋がることを願っています。
SophiaGEDも、高校生のみなさんと新しい学びの場に挑戦できた貴重な経験を、今後の活動に繋げていきたいと思います。
第3期は、2025年3月下旬に予定しています。