上智大学と全国のカトリック高校との連携協定が結ばれ、上智大学 SFDP推進室およびSophiaGEDが、タイ・バンコクをフィールドに、連携協定校の高校生を対象としたスタディーツアーを企画、2024年3月18日〜23日の6日間にかけて実施しました。
全国26校から123名の申し込みがあり、抽選で各校1名、26名が参加。 全員元気に全ての行程を経験し、教員・スタッフ・参加者の協力により、第1期となるプログラムを創りあげることができました。
「新しい環境・機会を自分に取り入れ、学びや力に変える」
大学と高校生との海外プログラム。全国各地から初対面の高校生メンバーが集まり、大学教員や大学生スタッフと一緒に海外のフィールドで多様な経験をし、各自の学びを追究しながら、互いに学び合える新しく充実の学びの場となりました。
新しいコミュニティ・環境での大学ベースの学習体験が、高校生の未来へつながる力となるよう、特に、自分の目的意識や自律的な学び方がより重要となる大学への接続を意識して、「自分たちで自分の学びを創る意識や、新しい環境での経験を自分の学びとして取り入れる力を伸ばすこと」を目標に置きました。
プログラムの特色としては、多様な経験・体験、自律的な活動実践、経験の言語化・構造化を通じた学びを軸の要素としました。加えて、全国各地の異なる学校の生徒同士の出会いやその間での学び合いも参加者にとっての一つの大きな要素となっていました。
❶ 多様な経験・体験 – 自らの経験をもって実践的・多角的に考える
渡航プログラムとして、自らの経験を持って考え学ぶことを重視。寺院・地域コミュニティ・大学・日系企業・商業地・スラム地域支援団体など多様な層にわたる訪問先を取り入れ、現地の方々やタイで活動する日本の方々との対話や交流・現地活動など、能動的に取り組む活動や体験ベースで学べる機会を持ちました。
大学や企業の訪問では、学生さんとの交流や、海外で仕事・活動する方とお話をする機会を通じて、タイを旅行先としてのみでなく、活動や生活の場として捉えました。コミュニティーの訪問では、地域の方々に教わりながらタイの伝統菓子作りや工作を体験。文化体験に加え、住⺠の方が暮らすエリアの環境や雰囲気を観察・感じ取ったり、「サワディーカー/カップ(こんにちは)」「アロイ(おいしい)」「サヌック(楽しい)」など覚えたタイ語で現地の人に気持ちを伝えることを試みていました。スラム地域の支援団体の訪問では、レクチャーに加え、地域を実際に歩き、人々の暮らしを体感しつつ、あたたかい住⺠の方々と挨拶を交わしたり子どもたちと交流。直接の関わりで認識を新たにしつつ、社会課題を考える機会となりました。
自らの経験を持って多角的にタイを捉えたり、多様な経験から 個人に応じて学ぶポイントを見出したりできるよう、思考の材料となる多くの経験・実体験を重ねました。
❷ 自律的な活動実践 – 自分の意志で学びや活動を創る力をつける
大学や将来に向け、自ら考えて動き、自由度を活かす力を伸ばす機会を意識。大学訪問など比較的内容まで用意された活動から、徐々に自分達で目的や手段を決めて現地に飛び込んでのフィールドワークなど参加者自身が考えたり決めたりする活動へ移行。参加者みんなでルールを決めての自由行動時間も設定しました。
「見かけた日系のショッピングモールで、売っているものや価格を見てみたい」などの興味を持って行動したり、お店のおばちゃんと顔見知りになって馴染んでいっていったり、あるいは「怪しい、怪しくないの判断ができたと思います」など、自己管理・危機管理の意識も自分の体感を持って高めていました。
責任や難しさも含めて自律的な活動の面白さを経験し、できることが増える自信もつけながら、先への姿勢に繋げていました。
❷経験の言語化・構造化 – 自分の経験や思考を整理・認識して学びに変える
経験や思考を言語化・記録、構造化し、自分の学びを意識的に捉える学習活動を、全体を通した軸としました。プログラム用に作成したワークブックを用い、自分のミッションを言語化してから開始したり、貴重な経験や思考は日々の活動記録として毎晩ホテルで各自しっかり記録。最終日のまとめセッションでは書き溜めた記録を付箋に書き出して俯瞰し、全体の学びを可視化・構造化することで、自分にとっての学びや成⻑をとらえることを試みました。
「体験が可視化されてわかりやすくなった」「たくさんの学びを得たんだなと少し感動!」と実感もあったようです。
+ 参加者同士の交流と学び合い
全国各地からの初対面のメンバーが、新しい環境で経験を共にしたり、それぞれの視点を共有できる機会自体が、高校生にとって大きな刺激となっていました。短い現地プログラムの中でもより深く交流できるよう、渡航前のフェーズからLINEグループでの自己紹介やガイダンスでの交流も行いました。
高校生のみなさんは、実体験を伴ってタイの文化や社会の理解・異文化や新しい物事へ向かう姿勢・個人の興味分野等においてそれぞれ新たな発見や自身の成⻑を見出していました。
また、プログラムで培った学び方や姿勢を今後も継続・応用していく意識や、短期〜⻑期で実践したいアイデアや将来のキャリアイメージにも繋げていました。
- タイでの生活を知り具体的なイメージを持つことを、様々なマーケットを訪れたり、タイで生活している人達からお話しを聞いたりして達成することができました。最初は「とりあえずタイを知る」でしたが、「タイに住む、タイで学ぶ」と 言う考えを持つ契機になりました。
- 現地の方に話しかけることを達成できた。つたないタイ語や英語、そしてジェスチャーでも会話することができ、コミュニケーションにはもちろん英語も必要だけど一番は話そうとする意思や聞こうとする優しさが必要なのだと思った。
- 様々なものが一気に押し寄せてきたり、自分で見つけにいく力と養ったりするとても充実した日々になった。徐々にタイ語も食べ物にも自分から挑戦できるようになり、広告など興味のあるものを一生懸命調べられた。
- 日本でもたくさん、「なぜ」を持ち、それを解決し、知識をたくさんつける。今回の旅で自分の目で観察し疑問に思いそれを質問したりして解決すると言うのがよかったから今後も続けていきたい。
- 観光でも留学でもいいのでまたタイに行きたいです。他のコミュニティーの文化が気になりました。英語だけでタイを知ろうとすると限界があるので、タイ語も難しそうだけど勉強してみたいと思いました。
- 自分が好きなこと/興味があること、これからの生活で大切にしたいこと、どんな生き方をしたいか、将来の選択についてなどたくさん考えることができた。
大学も、高校生のみなさんと新しい学びの場に挑戦できた貴重な経験を、今後の力に繋げていきたいと思います。
第2期は、2024年度夏(7月下旬〜8月上旬)に予定しています。